私がまだ学生時代の事です
私は定時制高校に通っていたので夕方から地元の電車に乗って学校近くの駅まで通っていました。まだ学校に通い始めた4月の事、列車内で外人さんが一人座っているのを何度も見かけていました。彼は30歳位の白人さんで、とても綺麗な顔立ちをしていました。
その人はいつも機嫌がが良さそうに歌を歌っていました。人の多い列車なら迷惑かもしれませんが、同じ車両にはほかに人がいない事も良くある位田舎の列車なので迷惑に思う人も恐らくいません。田舎なので夕方の列車はとても空いていて、この人はいつもいるなあとよく思っていました。
日本の歌が好きなようで、よく日本の歌を歌っています。とにかく陽気な方で、歌以外にも駅員さんの放送の真似をしていたり、音楽を聴きながら機嫌良さそうにリズムをとっていたり。カタコトの日本語がなんだか可愛いなあと感じる人でした。
多い都会ではよくある日常かもしれないけど、田舎ではなかなか見ないタイプの方だったのでいつも印象に残っていました。それから1年程は何も話をすることもなかったのですが、ある日向こうから話しかけてきました。その内容は、ガムを出して「チューイングガム」と言っていました。多分よかったら食べて!と出してくれたんだと思います。
私はガムを貰いました。そして食べるとニコッと笑って、それから少しお話しするようになりました。どうしてこの時間に列車に乗ってるかや、仕事のことなどは何も分からないままだったんですが、天気のお話をしたり、列車に乗った時に会うとニコっと笑ってくれるようになりました。
とてもいい人で私はその人の事を異性として気になるようになっていきました。今思えば、初恋だったなあと思います。家に一人いてもふわふわしていて、でも何か行動をしたり、付き合う事なんで少しも考えることができませんでした。自分に自信が少しもなかったんです。そして、その頃学校でとても辛いことがあり、私は2カ月ほど学校を休んでしまいました。
久しぶりに会えるかなっとワクワクしながら毎日列車に乗っていましたが、年度が変わる時期だった影響もあるのか、その人に会えることは2度とありませんでした。列車内で恋をするって結構よくある事かなって思うんです。でも全くの他人だし、行動するって凄く難しいですよね。
そう思っているうちに、いつ会えなくなってしまうのかも分からないのが列車での恋愛だなって思います。叶うならあの頃に戻って、勇気を出して連絡先を聞いて、デートとかしてみたかったです。思い出したらなんだかほっこりしてしまいました。今似たような恋をしている方がいたら、もうすぐ出会いと別れの季節が来るので勇気を出して!と言いたいです。
スポンサーリンク