超満員の有料ライナー列車
寒い季節に東海道線の湘南ライナー(有料・自由席)の電車に乗っていた際の出来事です。この湘南ライナーは有料ですが、ある一定の距離を過ぎると普通乗車が出来る電車になっています。(注釈:現在は下り列車の大船以遠では快速列車扱いでライナー券は不要、勿論グリーン車にはグリーン券がいります)
座席には有料で乗って来ている方が座っている事もあり空いている席に座っても良いのですが、大船から先は1~2駅程度で降りる方が多くて、いつも出入り口のドア付近のデッキで固まってしまいます。(注釈:ここの路線の車両はグリーン車を除き4つドアだが湘南ライナーの場合1つか2つドアになっている=その分乗降に時間がかかる)
その日は電車のダイヤ自体が乱れていた事と夜の通勤時間の為、いつも以上の混雑でした。普通なら1駅10分程度でつくのですが、この日は駅を出発してもすぐに止まってしまい足も付かないような満員電車のまま5分ほど動かず停車してしまっていました。
満員列車で体調不良の女性が
しばらくして自分の背中に重みを感じ振り返ると若い女性が気を失いそうになっていました。その女性は口元を抑えていたので「気持ち悪いですか?吐きそうですか?」と声をかけました。その女性が小さく頷くのを感じました。私の「吐きそう?」の問いに気が付いた数名のサラリーマンの方たちの顔色が変わるのが分かりました。
この満員電車で嘔吐されたら自分にもかかってしまうのではないかという嫌悪感のある表情です。私はちょうどフードのついた服を着ていたのと、その方が若い女性だったので「寄っかかって大丈夫だし、吐く時は私の服のフードに吐いて良いから」と恥かしい思いをなるべくさせないように気を使いました。寒い日だったこともあり満員電車にも関わらず暖房も入っていました。
線路上で止まってしまった電車の中で不満が徐々に高まっていくのを感じました。乗客がコートを脱ぎたくても脱げない、暑い、動かないのストレスが鉄道会社に向いていたのです。そうすると不思議なもので気分を悪くしていた女性に先程まで嫌悪感を抱いていた方達がが優しく接していました。「早く動いてよ、病人いるんだけど」の呟きが聞こえました。
そして電車は動き出し次の駅に着くと皆が先に気分を悪くした女性を先に通すために道を空けて「気分悪い人いるから避けてください」って声が上がりました。私は一緒に降り水を買い落ち着くまで一緒にいて空いた電車に乗せました。
この出来事で感じたのは、人間怒りの矛先が同じだと団結力が生まれるんだ!という驚きです。20分程度の出来事でしたが人の感情の動きがはっきりと感じられる不思議な体験でした。そして本当に困った時は人間は優しくなるんだなという事を感じてほっこりした気分になりました。
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