こちらの記事は鉄道事業者から見た(元鉄道に携わっていた自分の)考察になります。また以下の記事を読まれる前にこちら(姉妹サイトです)を一読ください。ご納得いただけた方だけ下記を読み進めてください。同意できない場合は無理をせずブラウザの「戻る」でお戻りいただけますようお願いします。
なおこの記事を読んで(特に当事者やその家族、支援者などが)腹立ったとか涙出たとか言われても当方では責任をもつことができません。また基本的にはクレームも受け付けません。(そのような事案の返信などもしません。)あらかじめご了承ください。
過日骨形成不全症の障害者活動家(電動車いすユーザー、しかも社会党幹部?らしい)が小田原から来宮(伊東線の無人駅)に家族らで押し掛けた問題を元大手私鉄駅員経験者が考察します。(中の人のうちの1人がそうでしたので書いてもらいます)
駅員だって忙しいんです
まずタダでさえ駅員や乗務員には余裕が無いです。欠員が恒常化しているところもあるようです。(作業ダイヤや列車ダイヤで業務がキッチリ決められている、国鉄時代でもあるまいし余剰人員などいるわけ無い)下っ端は特に。勿論介助が必要なお客にはお手伝いはするが。各人とも別の仕事をしている場合がほとんどで(介助の要請があれば)その仕事を中断してお客の手伝いを行います。
作業ダイヤと列車ダイヤ
作業ダイヤというのは駅員などがこの時間はこの作業をするといった事を30~60分刻みで決めたものを指します。お偉いさん用ダイヤと下っ端ダイヤがあります。(便宜上ココではこう呼びます)
お偉いさんは部下の駅員の指導監督や他の駅員が別の作業しているときに改札などに入り仕事をする、下っ端の駅員は改札メインで駅の掃除もさせられていました。あと食事の準備もありましたね。(今はどうか知らないですが)大きな駅なら食堂があるようですが規模がそこまで大きくない駅の場合、キッチン&ダイニングテーブルがありそこで食事を交代でとるという感じでしたね。列車ダイヤは各列車の運転時刻などをさします。
当時の業務
自分の場合(といっても20年以上前なので現在とはかなり変わっていると思います)は改札から出札(券売機はあるが券売機に入るキップの種類に制約がありあまり売れない一部のキップや回数券などは窓口での手売りでした。5千円や1万円の高額紙幣も対応していませんでした。そのようなお客が来た場合は都度両替で対応していました)精算機なんてものは無く乗り越し精算も手作業で何より自動改札機もやっと入り始めた時で手改札が主流だったのです。
ちなみに大規模な駅だと改札なら改札だけ、出札なら出札だけでした。(当然これらの内容は鉄道事業者により異なります)あとは下っ端なので上にも書きましたが掃除や他の社員の食事作りなど雑用が主体でした。
掃除はホームやゴミ箱のゴミの回収、トイレ掃除までありました。昔はトイレがメチャ臭くてトイレと改札は離して設置してある駅がほとんどですが数十メートル離れていても改札までトイレの臭いがする事もありました。今は大手だと子会社の清掃担当がしている例が多いと思います。トイレのほうも機能が向上して昔ほど臭いはしなくなりましたね。(それでも駅によっては臭いですが)合間に券売機や窓口の売り上げ集計もあり休憩時間は決まっているものの休む暇はほぼほぼなかったです。脱線したので話を戻します。
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経営的にも
例のウィルスのせいで経営自体が厳しくなっている事業者も多く、一時帰休させている事業者も多々あります。ちなみに「無人駅をなくせ」とかいう運動もあるようですが駅員を毎日1人常時配置するだけで下手すれば数千万円レベルの経費がかかります。(内訳:駅員に払う給与+法定福利費+駅員の休憩設備や維持費などなど。各駅員のシフトの関連や休みなども必要なので最低でも上記の例なら最低3人は必要)なので各社積極的に駅の自動化が進められてきたのです。無人駅や地方線区でワンマン列車が増えているのも同じような理由です。(改札機や券売機数台だけでもで億単位の費用が発生しますが、それ以上に人件費がかかるということなのでしょうか)
民間企業ですので利益が無ければやがて駅の廃止(北海道では流行っているようだが)や廃線、下手すると会社がなくなってしまいます。それを防ぐために沿線自治体や行政がいろいろな形で補助しているケースも多々あります。
そんなの駅員や鉄道事業者の勝手だろと言われれば、まあ気持ちは分かるんですが、上記のような理由ですぐに案内出来ない、乗車できないというような事を極力少なくするために「事前の連絡を」と各社ともアナウンスしていますが一部の方にはなかなか聞いてはもらえないようです。(人の話を聞かない方は障がい者健常者問わずいます)勿論各社ホームぺージにもその旨や利用の方法など書いてありますし無人駅でも多くの場合インターホンや管理駅の電話番号などを掲示しています。まして中共ウィルスのせいなどで人員が減らされていますし&ソレ関係に手を取られているのが現状です。
そもそもですがいくら法律論を出されたり大声で喚き散らされても無理なものは無理な訳です。例の件も熱海駅内部で相当検討や調整があったと聞きますし、その結果が駅長以下4名で介助したらしいが駅長がお客の介助をするのは通常ありえないです。駅長の仕事は主に部下の指導や指揮をとったり社内の会議や各関係機関との会議に出たりするのが主な仕事です。結果論にはなりますが政治的主張に利用されるのを駅長自ら水際で食い止めた形になったようです。そうじゃなかったらお偉いさんなんか出てこないです。
自分が現役のころ(20年前とか)は車いすの客も多くても1日2~3件でバリアフリーも無いような状況なのでその時の状況で出来る対処をしていました。今と違ってエレベータやスロープなんかほとんどないですし。そのため数人がかりで(車いすを)担ぐこともザラでした。当時は電動車いすもあまり普及していませんでしたので。エスカレータのみがある駅では専用運転にして駅員が車いすを支えつつ昇降していました。現在では利用者の少ない駅を除きエレベータなどがある事が多いです。もっと昔は東京や大阪のような大都市圏でも階段しか無いという例も多かったです。
重量物の運搬は大変
人が乗ってない状態の手動の車いすでもなかなかの重さなのに電動となると軽くて30kg~重いもので100kgを超えます。万一車いすを落としてしまった場合の責任の所在として、例えば各社営業規則には改札入場時~改札出場時まで事業者が責任を持つとされています。(無人駅の場合は列車乗車~列車降車時まで)
介助中、もし手を滑らせて介護客にけがを負わせてしまったら?電動クルマいす壊しちゃったら?(お値段も結構するらしい)しかも階段しか無い駅で階段を手で車いすを上り下りするのは駅員にとっても勿論お客にとってもリスクが高くなります。
少し前の話ですが関西の駅でベビーカーを子供の乗った状態で担いでいたら手を滑らせて落としてしまい子供がけがをする事案がありました。(落とすほうが悪いという意見もごもっともなのですが)ですので事業者側としても現場駅員にしてもお客の介助には非常に神経を使うことになります。
駅員に介助を強要?
しかも中共ウィルス蔓延の時期に家族で旅行だけならともかく駅員数人呼びつけて介助を強要ってなんなんですかね?(緑のたぬき:「密です!」)結果として来られた駅のほうはとんだとばっちりになってしまいました。(別件ですが過去に某ユーチューバーが地下鉄駅でレストランの予約に行くのに間に合わなさそうで駅員をせかしてその時の状況をアップしたら当然のように炎上しておりました。まあどちらとも自業自得です。)
機械での介助が原則です
エレベータや車いす用昇降機械などが完備されている事業者の場合は勿論、それ以外でも手で担ぐのを禁止している事業者もあります。会社としても手で持ち上げて車いすを運ぶというような判断はしません。
車いす利用のお客にはエレベータや車いすに対応した特殊なエスカレータ、車いすに乗った状態で階段を移動できるキャタピラが付いた昇降機械などなど基本的には機械で移動することになります。これらの機械が故障やメンテナンスで使えない場合や、そもそも設備がない場合、お客さんには申し訳ないですが付近の別の駅での乗降をお願いすることになります。
ごくごくまれに例外的に予め十分な準備と人出を集めて(車いすを)手で運ぶと判断することもあります。この判断は駅単位でするので例の件だと小田原駅と熱海駅で言ったことが違うというのは仕方が無いと思われます。この例だと熱海駅で駅長以下せっかく人出を用意して運んであげても(ココで感謝しろとは言いませんが)「言っていたことが違う」と言われると介助する側もガッカリだと思います。おまけに何を思ったのか知らないですが活動家が「真っ先に係員を集めて運べ」と言ったことで「例外」を過去にも経験しているようで当人は「姫」気分なんだろうか?(当人も自分の事「姫」って言ってるようだしw)
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事前連絡
そもそも予定が決まっているなら何故事前に連絡しないのでしょうか?(駅側でももっと便利な別の方法が考えられたかもしれない)まあ確信犯なんだろうけど。なぜ重度障害なのにきちんと介助者を用意しない?割引制度まであるのに。(介助者というかヘルパーはついていたようですがわざと手を出さなかったという情報もあります)
なぜ降車駅の事はろくに調べてないのにレストランやホテルはちゃんと予約していて、おまけにトラブルは即座に撮影して新聞社などに電話が出来るのか?コレも言いぐさ悪いけど(鉄道事業者側を)貶めるためにやったと見られても仕方ないと思います。しかも無人駅&改良工事が決定している駅を狙った件。
ついでに記すとこの活動家たちが行った日は4月1日~2日(エイプリルフールネタではない)で改正バリアフリー法の施行日でもありました。(だから鉄道事業者側も神経質になっていた可能性もあります。)活動屋なのでわざと炎上させて自分の手柄にでもする気?と思われても仕方ないです。(ついでに公〇党も給付金などさぞ自分たちの手柄としてアピールしている件)
社内マニュアル放置?
「姫」が自身のブログで「社内マニュアルが機能していないのは経営者の責任」とか書いているようですが、コレは半分正解で半分不正解かなと思います。どういう事かというと、例えばこの記事を読まれている皆様が切符を買い列車に乗車してどこかで紙の切符(以下切符と記します)を無くしてしまった場合どのような取り扱い(マニュアル)を駅員はするのかご存じでしょうか?
マニュアル通りに取り扱うとすれば、もう一度乗車駅~降車駅までの運賃をお支払いいただき、「再収受証明書」(切符自体に証明印を押す場合もあります)を受け取り、後日(証明書発行日の翌日から1年以内)最初に買った切符が見つかった場合、再収受証明書(または証明印が押された切符)最初に買った切符の両方を駅に持っていくと1枚分の切符の値段から手数料を差し引いた額を払い戻ししてもらえます。(各事業者で細かな取り扱い部分に差がある場合があります。なおオレンジの会社は徹底しているらしい、また再収受証明書は言わないと出してくれない駅員もいるようなので注意が必要です)なお無くしたのが紙の切符ではなくICカードの場合は少し手続きが変わってきます。(記名式または定期券を搭載していると再発行が効くので、勿論手数料はかかりますが)
この記事を読まれている皆様は上記の対応通りに処理されましたでしょうか?恐らくは事情を駅員に聞かれて「分かりました、今回はそのままお通りください」と言われ運賃など請求されず通してもらったと言う方も多いのではないでしょうか?実際中の人(元駅員)もそういう事例は多々ありました。基本的には乗車区間の運賃を再度お支払いいただく場合が多かったです。
このような取り扱いは厳密に言えばマニュアル違反です。なぜこんな事が起こるのかと言えば社内マニュアルなどに「事情気の毒と係員が判断した時はこの限りではない」と書かれているからです。駅員が「事情気の毒」と判断すれば何とでも対応可能になってしまい、マニュアルはあってないようなものになります。
今回の例の問題で言えば、小田原駅ではマニュアルに沿って付近の駅を案内しましたが熱海駅のほうでは駅長自ら「事情気の毒」と判断して例外的な判断をしたのです。今後事業者側でも見直しが図られると思いますがこのようなあってないようなマニュアルが放置となればトラブルが起きてもおかしくは無いという事になります。
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お礼の強要?
「やり方ポリシング」とか「バリアフリーの必勝法」がどうたら姫は言っているようですが。確かに中の人もバリアフリーの必勝法なんてのは持っていません、でも皆様どうでしょう。誰もそんな必勝法をもっていないですよね?そもそもの話として社会を変えたいと思うのなら地道に「味方」を増やしていくしかないと思います。敵しか居ないところで話なんか聞いてもらえませんから。
ついでにいうとバリアフリーなど駅の利便性向上は大手事業者で大きな駅ならまだしも無人駅とか中小の駅など構造的にエレベータの設置が難しい、予算の問題(1基設置だけでも数千万円かかり更に保守費用もバカにならないです)も多々あります。設置に関しては一応補助もあるのですがその負担は地方自治体や国土交通省(つまり国)が負うことになり結局は皆さまの税金が投入される事にもなります。
現役時代もそうでしたが「介助されるのがあたりまえ」と思っている人が多いです。(勿論障害の有無にかかわらず感謝の言葉を述べる方も多いですし一方で上から目線のお客も多いですが)別にいちいちお礼してもしなくても介助の内容やサービスの内容が変わるわけでもなく駅員や乗務員も(少なくともその場では)何とも思わない方も多いです。
お礼するのは負担?
現場でも介助しても礼一つ言わず当然な顔して電車に乗っている件が散見されます。これでは正直介助もしたくなくなる。まあ業務の範疇なので介助はしますが。というか言いぐさ悪いが関わりたくなくなる。まれにギリギリに来ておいて「乗せろ」という人がいるが降車駅や乗換駅との確認が取れなければ降車出来ない、または乗り換えられないという事もあります。(こういうお客に限ってギャーギャー文句言う事多いです)
コレもお客から見たらあんたの勝手でしょ!と言われればそれまでなんですが。他の接客業全般にも言えるかと思いますが駅の仕事って「メッチャストレスたまる」のです。障がいの有無を問わずクレーマー的な客や人の話を聞かない、理解しようとしない(勿論駅などでも最大限説明などはしますが)人があまりにも多いです。駅の立地や係員の個人差も大きいとは思いますが。
人に感謝を伝えるのってそんなに負担のかかる事なのでしょうか?ただ一言感謝の言葉やしぐさなどで伝えるだけでその場の状況が良くなったり、よりよいサービスが受けられるとしたらコストパフォーマンス的にもすごくいいと思うのですがどうでしょう?勿論無理にお礼を言えといっているのではありません。お客vs係員と言っても結局は人対人になりますので。各人がそれぞれ求める価値観や大切な事が異なりますのでこの問題に正解は無いと思っています。誰もが簡単&スムーズに列車を利用できるようにという思いは利用者は勿論、鉄道事業者側も同様です。
おことわり
この内容はあくまで1個人の意見や見解でありまして、特定の企業や団体、また個人や障がい者の方々などを誹謗中傷する意図はございません。なにとぞご理解&ご了承ください。
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