いつもコンビニ弁当ばかり
私がまだ若かった頃、仕事の都合で一人暮らしをしていたことがあります。その当時暮らしていたのは、築20年ほどの三階建てアパートでした。外見はそれほど年数が経っているようには見えませんでしたが、部屋の壁や天井には、大きなほころびがあったり色がくすんでいたりで建物の中に入ると劣化が進んでいるのが実感できました・・・。その頃は仕事が忙しく、食事を作るのが面倒だったことから、夕食はいつもコンビニ弁当を食べていました。
とある休日のことです。その日は特に用事も無く、自室に籠もり、テレビを見ながらリラックスしていました。夕方近くになりお腹が空いてきたので、今日ぐらいはたまに自炊でもしてみるか! と思い立ったのです。
早速近所のスーパーへ出掛けると、おいしそうなサンマが安値で販売されていました。普段弁当ばかりなので新鮮な魚介類は貴重な栄養源です。私は迷わず、サンマ二匹と350ミリリットルのビール二缶を購入し、自宅に戻りました。
たまに魚を焼いたら
アパートに戻ると時刻は夜の7時頃になっていました。自炊するのは久しぶりです。早速、一人暮らし用の三合炊き炊飯器で米を炊き、戸棚の奥からガスコンロに載せて使う魚焼き器を引っ張り出し、その上に塩を振ったサンマを並べて準備完了です。たまの休みにビールでも飲みながら料理するのも悪くないと思い、私は魚を焼きながらお酒を飲み始めました。
そうこうしていると、魚はだんだん美味しそうな焼き色が付いて、サンマの脂が魚焼き器の受け皿にしたたり落ちています。すると突然、そのしたたり落ちた油と魚全体から大きな炎が上ったのです。その炎はコンロから80センチぐらいの高さまであり、部屋中にたくさんの煙をまき散らしました。そして、それと同時に、「ジリジリジリジリ・・・・・・」というけたたましい火災報知器の音がアパート中に鳴り響いたのです。
魚焼き器から立ち上った炎はすぐに収まりましたが、いかんせん、火災報知器は鳴り止みません。焦った私は、一目散で管理人室に行きましたが管理人はおらず、その代わりに、びっくりして飛び出してきたアパートの住人が5人ほど、何やら話し込んでいます。
私は「すみません、お騒がせして! 魚を焼いていたら炎が出てしまいました。火事では無いので安心してください」と皆に説明したのです。その場に居合わせた住人たちは、「よくあるんだよ~、このアパートでは安心して魚も焼けないんです」と納得した様子でした。
しかし、他のアパートの住人が次から次とやってきます。私はその都度、「すみません、すみません」と頭を下げるしかありませんでした。そして、火災報知器がどうにも止まりません・・・。結局、火災報知器はその後1時間ほど鳴りっぱなしだったのです。私ののんびりした休日は、急に悪夢へと変わったのでした。あの時は、本当に肩身の狭い思いをしたものです・・・。
おことわり
この記事はあくまで個人の感想であり特定の個人や業者などを批判するものではありません。また状況が変わっている可能性もあります。お部屋を借りるというのは決して安い買い物ではありませんので最終的な判断はお客様の責任で行っていただきますようお願いします。
スポンサーリンク