家主が変わった?
賃貸住宅に住んでいる方は毎月の賃料を大家さんや管理会社に振り込んでいる、もしくは引き落とされているかと思います。ある日突然、大家さんが変わったらどうなるのでしょうか???
入居中のアパートやマンションが売却されるのは別に珍しいことではありません。売却されると当然ですが大家さんが変わります。すると下記のようなことが起こります。売却には、通常の不動産市場で売られる場合と、何らかの理由で差し押さえられて裁判所を通す競売(きょうばい)と言うのがありますが、この記事では、通常の売買における内容をお伝えします。
まず、家賃の支払い先が変わります。大家さん宛に振込んでいた場合は当然として、管理会社に振り込んでいた場合でも、管理会社が変わることが多いので、振込先が異なるはずです。新しい振込先は、通知に明記されているはずです。また、賃貸借契約は、新規に大家さんとなった人とかわすことになります。新しい契約書を作成する場合もありますが、実務上は今の契約を引き継ぐ「覚書」というのを交わすことが大半だと思われます。(ココは重要ですので後述します。)
ただし通知を受け取ったからといってすぐに家賃などを振り込んではいけません。何故かと言いますとこの手の詐欺事件があちこちで起きているからです。
「物件が売却され、来月から家賃の振込先が変わりました。次の口座に振り込んでください」と各戸にチラシが配布されましたが、実は物件は売却されていなかったという事件がありました。これは家賃をだまし取るのが目的です。 振り込んでしまうとお金を取り戻すことは相当難しいと思います。「物件売却」「所有者変更」「管理会社変更」により、「振込先変更」という通知を受け取ったら、それを決してうのみにしないで、すぐにそれまで家賃を振り込んでいた大家さんや管理会社に連絡をして確認を取ってください。そもそもチラシで通知するという事に怪しいと思わないといけません、こういう場合は最低でも郵便で送ってくるはずです。
もう一つですが、新しい契約書が送付されて来ても、すぐに署名捺印するのは避けたほうが良いです。その内容がこれまでと比べると借り主に不利な内容が書かれていることが多々あるからです。物件が売られて所有者が変更になっても、原則としてこれまでの賃貸借契約や敷金は引き継がれます。ですので送付されてきた契約書に違う事が書いてあったら「以前と同じ契約内容にしてください」とキッチリ伝えましょう。
新しい管理会社がキチンとした業務を行っていれば、新たに契約書を作成するのではなく、以前の契約書のまま「覚書」として、日付を示して借り主、貸し主の署名と捺印をする方法で対応するはずです。新しく契約書を作成させられるのであれば、まず、新旧の契約書を自分で読み比べて比較しましょう。たとえば更新料が安くなっているなど、借り手に有利な面があるなら、新しい契約書に署名してもよいと思います。
また、しっかりとした業務を行っている管理会社や大家さんであれば「所有者が変わりました」という通知だけではなく、新しい所有者が明記された登記簿というものを同封してくるはずです。この登記簿には、新しく物件の所有者になった人の名前が明記されていますので、売買の事実を確認できます。登記簿(正式には登記簿謄本や登記簿抄本、登記事項証明書といいます)は仮に同封されていないとしてもお近くの法務局でご自分で取り寄せる事もできます。(ただし手数料がかかってしまいますが)
各自治体では、無料の「住宅相談」などを行っています。疑問を感じたら自治体の住宅課などの担当部署に相談するのも手かと思います。またトラブルになりそうな場合には有料にはなりますが法律事務所でも予約制で相談を受けつけています。(収入が低い方は相談が無料になる場合があります、詳しくは法テラスや各法律事務所にお尋ねください。)
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